ペットだなんて、言わないで

「花を教えてくれたのは、ふんわりしたあの子だったよ。まさか……あの子に気付かされるなんて」



 一回出た涙は留まる事を知らない。


 拭っても拭ってもまだまだ溢れてくる。


「遅かったよな、ハル……っ。もう一度……俺の傍に……」



 それ以上はいえなかった。

 涙で、嗚咽で、喋れなかったんだ。



 一瞬、強い風邪が吹き荒れたその時だった。



 ――リン……


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