声恋 〜せいれん〜
「ふーっ、今日は楽しかったー!」
お祭りも終わりの時間になって、みんなぞろぞろと歩いている。
ネコキャラのお面を頭につけた凛ちゃんがりんご飴をたべながらわたしたちの前を歩く。
わたしと蓮也さんが連れ立って歩いても、あんまり文句言わなくなった。これって少しは認めてくれたってことかな?
そう考えるとちょっとうれしい。わたしはとなりの蓮也さんを見上げる。少し酔ってる? ぼんやりと周りを眺めている顔がなんか無防備で…ステキです!
「あっれー、凛じゃん、お前も来てたのかーっ?」
かん高い女性の声がぶつかってくる。派手に頭を盛ったギャルっぽい二人が凛ちゃんを見て笑ってる。
「あんた、ひさしぶりじゃーん、いきなり転校したからさ、どうしたのかって心配してたんじゃーん」
凛ちゃん、一瞬びっくりしたような顔したけど、またそのまま歩こうとする。
「おいおいテメー、またシカトこいてんじゃねーよ。それが友達にする態度かよ!」
また声を荒げるギャルその1。あのー、それで友達だったんですか?
「こんなもんかぶってんじゃねーよ!」
バシッ! と音がして凛ちゃんのお面がはじかれる。あっと思った瞬間、わたしの体はもう前に出ていた。