声恋 〜せいれん〜



その日の夜、わたしはすぐに電話した。




エリカに。




いっぱいいっぱい、しゃべってやった。なにがなんだかわからなかった。はじめての収録のことなんてどこかへ飛んでった。頭の中にあるのは蓮也さんのことばかりだった。




「…えーと、つまり、蓮也は彼女がいるのに、あんたとつきあってたってこと? アホじゃん?」




「アホじゃないよ! それにちがうよ、彼女はわたしなの! ちゃんと蓮也さんにも聞いたんだもん。特定の彼女はいないって言った!」




「でも特定じゃない彼女はいたってことだろ?」




「なんなのそれ、彼女って世界で一人しかいないもんじゃないの? 女友達じゃないんだよ? 彼女だよ!?」




「彼女の『定義』にもよるね」




「なにそれ、つきあってるもの同士で『彼氏彼女』の定義がちがうって、そんなのありえなくない? ていうか見てたらあの二人が本来の『彼氏彼女』でわたしのほうがまるであとから出てきたみたいじゃん!」




蓮也さんと塔子さんの二人がいっしょにいる姿がすごく自然だった。思い出しただけでイライラする! そばにあったクッションをバシバシたたく。



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