声恋 〜せいれん〜
ファミレスのウィンドウから見える景色が灰色を帯びている。秋というには深すぎて、クリスマスには少し早すぎる、くすんだ世界。
去年は優一くんの誕生日プレゼントを選びに、エリカやありさちゃんといっしょに出かけてたりしたのに。カバンにつけた鈴の音色は慣れすぎて、当たり前すぎてもうあまり聞こえてこない。
優一くんからもらった腕時計で時間を見る。今年、優一くんとは会う約束すらしていない。今はそれどころではない。
何度目も入り口のほうを確認し、入ってくる人が“その人”でないことを見てはホッとため息をつく。
“こんな気持ちじゃ、ダメだ…”
そしてついに、その人があらわれる。
「ゴメンね、待たせて」
息を切らせてコートを脱ぐ様も、あいかわらずカッコいいのだ。この風巻塔子という人は。