声恋 〜せいれん〜
ふとケータイを取り出して時間を見た優一くんの、その姿にすごい違和感を感じた。
なんだろ…この気持ち悪さ…。
「あ! それ知ってる!」
「あ、うん、これ…」
「だるまングースだ! 合格祈願のダルマとマングースでしょ! すごいカワイイよねぇ…」
「うん…かわいい」
「…もらっったの?」
「うん…もらった」
「だれに?」
「え…? ちな…宍倉(ししくら)さんに…あ、ほら、こないだ文化祭のときで手伝ってもらった子…」
「えーっ、なになにぃ、それ、へぇー、ふぅーん、そうなんだーっ。あやしーと思ったんだよねー。やっぱそうなんだ〜? なんか二人の距離感、近すぎって感じだったし〜」
「いや…ほんと、そんなんじゃないから…受験で忙しいし…」
「おとなしそうな子だったじゃん、ああいう子が好きなんでしょ? なんかゲームに出てきそうな感じの? どうなのどうなの?」
「彼女はそんな大人しいってわけじゃないよ…けっこうズバズバともの言ってくるして…」
「ふぅーん、わたしなんか、蓮也さんに捨てられたんだからね〜、本命の彼女がいたんだよぉ。ひどいよねぇ〜」
「えっ…?」
やめて。
そんな目で、見ないで。