声恋 〜せいれん〜




観覧車の中は沈黙でいっぱいになる。




一年前に乗ったときの沈黙は、くすぐったかったのに。今日の沈黙は…きらい。




「…もう、完全に忘れられたの? 蓮也のこと…」




…完全に…。




「きらい…」




「え…?!」




「大きらい…」




ぼろぼろと、涙がこぼれる。




「大嫌いだよ!!」




わたしはせまい観覧車の中で、大声をだして泣いた。




それでもなんにも言ってくれない優一くんに、もっと泣けた。



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