声恋 〜せいれん〜




卒業生がみんなで写真を撮りあってるなか、優一くんの姿が見えた。




おーいと呼んで手をふったが、となりに優一くんの彼女の千夏ちゃんがいるのが目に入ってあわてて手を引っこめたけど、優一くん気づいてこっちに来てくれた。




「あ…、ごめん、話し中だった?」




「いや、だいじょうぶ…桜木さんとも、話したかったし」




「そう? …わたしも…」




わたしも…優一くんと話がしたかったよ。ぜんぜん…ぜんぜん話してなかったから…でもじっさい、こうして面と向かっていると…なんだか…言葉が出ない。




「…」




「…」




…久しぶりだな、優一くんの顔をちゃんと見るの。なんか優一くん、背がおっきくなったなあ。肩幅もしっかりしてるし、顔も大人びた感じ。高校生ってこんなに成長するもんだっけ? 




なんだか…ちがう人みたい。ふしぎ…。



< 210 / 286 >

この作品をシェア

pagetop