声恋 〜せいれん〜
「…専門学校行っても、がんばってね」
「…うん、いままでありがとう…お互いメールしないのにもやっと慣れたよ」
「高二の春からずっとだもんね…よく続いたよ…がんばったね、桜木さん」
「ううん、まだまだこれからだよ。でも、がんばれる自信はあるよ! 優一くんのおかげだよ!」
そう…きっとがんばれる…蓮也さんがいなくても…優一くんとすごした、あの日々はたしかにわたしのなかで息づいている。
「…千夏ちゃんと同じ大学、いけてよかったね」
優一くんのさびしそうな顔見てたら、自然とそんな言葉が出た。
「うん…桜木さんも…がんばってね…」
「わーかってるっての! そんなに心配?! ほら、もう、こんなに元気だし~♪ だいじょうぶ、だいじょうぶ! ね!」
ニコニコ笑っておどけてみせる。だいじょうぶだから。きっとだいじょうぶだから。
「…」
ちょっとの沈黙のあと、優一くんが思い切ったように、話しだした。