声恋 〜せいれん〜




それ以来、わたしとすずはよく一緒にお昼を食べた。




授業が終わったら彼女は仕事があるのでこの時間しか一緒にいられない。短いけど、すごく楽しい時間だ。





「え? ああ、事務所のプロフィールか。19歳って書いてあるけど、本当は24だから」




「ぐえーっ!? サギじゃん、それ。なんでゲーノージンってみんな年齢にウソ書くかなー?」




バンバンとテーブルをたたきながら、すずに言う。




「しらねーよ、シャチョーがそう言ったんだから。本気にしてるやつなんかいねーよ! アイドルとファンは幸せな共犯関係をむすんでんだよ!」




お昼の金目鯛をつつきながら、すずが言う。




「てか、それを言ったら声優の方がヒドくね? あれ、生まれた年が書いてないっしょ? どんだけ年齢不詳の世界なんだっつーの」




「だってアニメとかだと、若いキャラ演じることが多いから、そのギャップをできるだけ少なくしようっていう配慮でしょ?」




「おばさんだろーがなんだろーが、“声”で勝負だろ。オレが声優もやるのは、見た目でチヤホヤされまくってちょっとイラッてきてる部分もあるんだよな。演技を見ろ、ってね。もちろん、男たちには夢を与えつづけますがね」




「ふええ…アイドルが本気でオレって言うなよぉ~」




こんなに笑ったの、すごいひさしぶり。その後もケラケラと笑いながら二人で話していると、いきなりうしろから話しかけられた。



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