声恋 〜せいれん〜
冷たい、冷たーい視線がむけられる。
「わかりました、ていうか、こっちから願い下げです。わたしも徴収はゴメンだし。あなたみたいに『他人をおとしめることでしか自分の存在を高められない』ような人といっしょにいたら、他人のいい所もぜんぶ見えなくなってしまいますからね」
「ケっ…ダサ女が…」
「そうやって外見だけしか見てないから、他人のいいところが見えないんですよ」
「…っ」
「そーんなことよりさぁ、二人とも演技で勝負したら~?」
ハイハイ、ごもっともでございますよぅ。
「クソがっ…」
千明さん、くるりときびすを返すと(髪がなびいてシャンプーのCMみたいだった)、力強い足取りで去っていった。取り巻きたちが不安そうな顔をしてあとに続く。
わたしも熱くなってしまった…ああ、なんか、なつかしい、この感覚…昔に戻ったみたい。なんでも感情をむき出しにできた、あの頃に…。