声恋 〜せいれん〜
居間の方からドタドタと足音が聞こえてくる。
「あーっ!! ねーちゃん、その人が優一さん? はじめましてこんにちは、弟の暁人(あきと)です。『武士道伝』持ってきてくれた? 対戦しよ、対戦! ねーちゃん格ゲーほんとヘタクソでさあ〜。にーちゃん格ゲーつよい?」
興奮気味に話す暁人を見て、わたしはドーンと現実にもどされる。
「こーら、またそうやってすぐゲーム、ゲームなんだから〜! もう、こいつったら優一くんと同じでゲームが大好きでねー。今日優一くんが来るのすっごい楽しみにしてたんだよー。あ、ほら、お土産もらったよ暁人、なにかな〜?ケーキかな〜?」
「あ…うん…プリンだけど…二個しか買ってこなかったんだけど…」
「へ!? …あ! 自分のぶん買いわすれちゃったとか? ふふ、優一くんも案外ぬけてんだね〜。いいよ、わたしさっきプリン食べたから!」
「いや…弟がいるって聞いてなかったし…あ、それ、大好きだって言ってた『満月堂』のプリン…」
「え!? 『満月堂』のプリン!? 食べる食べる! んー、そうだ! 半分こしよ! 半分こ! 優一くんのを半分と、暁人のを半分食べる!」
「ねーちゃんだけ半分じゃねーじゃんかよぉー。てかどんだけプリン好きなんだよぉー。冷蔵庫にあと1個残ってるやつ、おれのだから食べんなよなー」
「わかってますぅ〜、って優一くん何笑ってんのー?」
優一くんってば手で顔押さえてヒクヒクしちゃってる。
「いや…なんかさ、桜木さんって家でも学校でも変わんないなって…」
「あ、やっぱり姉ちゃん学校でもこんなんなんだ」
「こらっ! こんなんとはなによ〜、こんなんとは〜!」
「あはは…っ」
「あー! 優一くんひど〜い」
恥ずかしいなぁ、もう。
あ、でも
なんかすごく
楽しいかも。