声恋 〜せいれん〜




自分の好きだった人が、いなくなる。




じわじわ、ゆっくりと、ダメになっていくときもあれば、急になんの前ぶれもなく消えてしまうこともある。




どのような別れ方であれ、残された人たちはその人のいなくなった世界を歩んでいかなくてはならない。




だれもが経験する、つらい道のりだ。




だからこそ、支えが必要になる。




一人じゃないよ、っていってくれる人たちが。手を差しのべてくれる人たちが。




その日の夜、わたしはすずをわたしの部屋に連れて帰って、ずっとそばについていた。




あの強気のすずが、なにもしゃべれずにただブルブルと震えて泣いていた。




この子の心の支えになろう。凛ちゃんの時と同じように。




そう決心した夜だった。



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