声恋 〜せいれん〜
そのときドンっ、て蓮也さんにぶつかった人がいた。
「あ、わりっ」
ベースでリーダーのヒロだった。
「なんだよ、また若い子たぶらかしてんのかよ」
「…こいつは、そんなんじゃないって」
…なに? このいやな空気。
「それより、ちゃんと次の曲は、オレのいう通りにやれるんだろうな。勝手にイメージ壊しやがって」
「…わかってる…悪いが、この曲だけはどうしてもやりたかったんだ。次はお前のいう通りにするよ」
「…どうだかね。調子コキやがって…こんなガキ相手にまでなに手ぇだしてんだよ」
そう言ってわたしをにらみつけるヒロさん。
蓮也さんがヒロさんの胸ぐらをつかむ。
「陽菜は…そんなんじゃねぇ…あやまれ…」
「蓮也さん、やめて…」
「ケッ」
蓮也さんの腕をふりほどくと、ヒロさんは去っていった。
「蓮也さん…」
「ん…、大丈夫。最近オレがソロでやってることとか、今回の曲調とか、ロスチルのイメージに合わないことばっかりしてるからリーダー機嫌が悪いんだ」
そう言って、蓮也さんが悲しそうに笑った。
そんな…みんな、仲良くだよう…。
こんなすてきな曲を奏でているのに…。