声恋 〜せいれん〜
「んっきゃあーっ!! かわいい! かわいい! すりすりしちゃう! ほっぺすりすりしちゃう!」
そっと抱っこをさせてもらって、ほっぺすりすり。赤ちゃんどくとくの、ミルクのにおいがした。ふわ~、すごいふにふにしてるー! もお! かわいいよっ!!
「おいおいペットじゃないんだから…」
「だってえ、かわいいんだもん~。エリカの目にそっくりだね」
「え、そう?」
「うん。そっくり。よかったねえ、将来安泰だぞ!」
「あはは、なんだそれ。…ってかごめんね、いそがしいだろうに呼び出したりして」
「ううん! 全然! いま年末だからお休みなんだ! ほら、うちの共演者たちみんな年配者ばっかりだから、家族サービスやら親戚付き合いとかで、きっちり休みとらされるんだ!」
そういってわたしが笑うと、エリカも楽しそうに笑った。
よかった…あの頃と、かわっていない。
「ビックリしたよ…ニュースであんたのことやってんだもん。まだ学校も行ってるってのに、いきなり大役あてちゃったね」
「んー、それは…まあ、ある人のおかげでも、あるんだけどね」
「でもちゃんとオーディションで役を勝ち取ったのはあんたの実力でしょ? すごいじゃん、『みちのけものたち』でしょ? あたしもよく図書館の絵本コーナー行くんだけど、いっつも全部貸し出し中でさ~、ほんとこれって人気あるよね~」
そういって大空(そら)ちゃんの顔を見つめるエリカの顔…本当に、お母さんの顔って感じだ。
やさしくて、やわらかくて、あったかい、まなざし。