声恋 〜せいれん〜



「うん、ほら、あんたが優一といつも一生懸命声優になるための勉強しててさ、すごいなぁってずっと思ってた。わたしなんかなんにも夢とか、なりたいものとかなくて正直うらやましかった。ちょっと嫉妬してたと思う。あんたがあんまりにもキラキラ輝いていたから。わたしにはなんにもない、そう思うとすっごく暗い気持ちになるっていうか…ほんと、勝手だよな




「だから妊娠したってわかったとき、すぐに思えたんだ。“わたしはこれをがんばろう”って。わたしがやるべきことはこれなんだって。もちろん、まだ高校生だったし不安はあったけど、旦那も子どもができたってわかったときすっごくよろこんでくれた。こんなにもよろこんでくれる人がいるのなら、わたし全然やれる! がんばれる! って思ったし」




「旦那さん、いい人みたいだね」




「うん、なんかさ、うちのって編み物が趣味なの。だからさっそくくつ下とか、帽子とか、いきなり編んじゃってんだよね~。ほら、カワイイでしょ、この帽子!」




「ヘぇ~、編み物かぁ! それはすごい旦那さんだね!」




「うん、手先の器用さは誰にも負けないっていつも言ってる」




「いいなあ~! わたしもそんな旦那さん欲しい!」




「え?! 蓮也でしょ?」




「え、いや…アハハ…蓮也さんとは…」




「え?! 別れたの?!」




「ん…まあ…でも、まあ、劇場版のゲストキャラだから、ここんとこずっと一緒だったけどね…」




「あらら、別れたのに一緒にいなきゃなんないなんて、さぞつらかったろうね~」




「いや、そんなことないよ。楽しかった。エヘヘ」




「楽しかったってなに?! あんたまさかいいようにオモチャにされてんじゃないでしょね!」




「ううん、ちがうちがう! 蓮也さん、ちゃんと他に大切にしてる人、いるからさぁ…なんていうのかな…友だちっていうか…戦友?」




「戦友?! なにそれ?! 意味わかんね!」



< 261 / 286 >

この作品をシェア

pagetop