声恋 〜せいれん〜
舞台の袖でもわかる、客席の熱気。
一年の集大成としてこの学校の生徒たちの公演を2月にやるのだが、今年のもり上がりは学校始まって以来らしい。
なんせ現役アイドルのすずと(やめたって言ってたのは本人だけで、まわりは誰も本気にしてなかった)、若者に大人気のモデル藤堂千明と、国民的(?)声優桜木陽菜がヒロインを演じるのだ。
『三人の花嫁』っていう演劇をやります。
カワイイウェディングドレスに身をつつんだすず。キレイでゴージャスな千明。そして…わたしが結婚したらずっと着たいと思ってた…お姫さまみたいなロマンチックなドレス。
やっぱりウェディングドレスって…特別なんだ。みんな顔が興奮している。
もちろん、わたしも…。
…見せたかったな、優一くんに。見たら、なんて言ってくれたかな?
「おっし、いこうぜ! 足引っぱんなよな、千明!」
「それはこっちのセリフだっ、すず」
ふふっ、すっかりこの二人も仲よくなっちゃって。なんかいいコンビって感じ。
演技がうまくなりたい。目的が一緒だと、やっぱり戦友になれるのかな。まあわたしたちはアイドル・モデル・声優で戦場が違うから、お互いのグチを言いあえるし、ある程度他人事みたいにきけるってのもあるんだけどね。
ただ、負けたくない。これだけは同じだ。
すずと千明の前に手を出す。二人はうなづいて、わたしの手に自分の手を重ねる。
「よっしゃー! いくよ! 出番だ!」
オウッ! っていうふたりの声が続いた。