声恋 〜せいれん〜




「…ん、そうだね」




「うん…あ、ちゃんと彼女に言ってきなよ? オレの“弟子”に会うって」




「なんだよ、それ。こっちのことは、いいからさ。そっちこそ、大丈夫なの?」




「…あ、うん…えーっと、それも、まとめて話すからさ」




「え、っと、どこで待ち合わせする?」




「ん~、あ、あそこがいい! 優一くんと、いつも歩いて帰ったあの学校に行く道!」




「ああ、あの桜並木の道か。そうだね、そろそろ咲くころだね」




「うん! わ~、思い出すな、出会ったばかりのころ…よく二人でゲームしたり…わたしの音声ファイル聞いたり…よくいっしょに帰ったね」




「うん、そうだね。思い出の道だ」




「わあ、なつかしいなぁ。あそこに行ったら、またいろんなこと思い出しちゃうかな」




たのしかったこと、ばっかりだけど。




「初心忘るべからず、だね」




「あは、そうだね、まったくそのとおりだよ!」




「うん…じゃあ、そこで会おう…!」




「うん! あ、ちょっと待ってね、あいてる日、調べるから」




こうして一週間後、わたしと優一くんは会う約束をした。




一週間後…本当に優一くんに会えるんだ。




何を着ていこうかな。




何から話そうかな。




いっぱい、いっぱい、話したいことがあるよ。




優一くんはなにを話してくれるのかな。




今、なにを目指しているんだろう。




今のわたしを、どう感じるんだろう。どう受け止めてくれるんだろう。




聞かせて。優一くんのこころ。




あ! そうだ、あのときのことあやまらなきゃ!




えーっと、それから、それから…ああ、もうっ! いまから胸がいっぱいだ。




想いはつのる。




会いたい。




早く会いたいよ。




優一くん。




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