声恋 〜せいれん〜




「おそいな…桜木さん」




ケータイをとりだし、彼女に電話する。




しかし単調でつまらないコール音がなったあと、事務的な女性の声の留守電になるだけだった。




しかなたくぼくはおとといメールでもらった彼女の音声ファイルをまた聞くことにした。




ヘッドフォンを耳にはめ、彼女の世界に入りこむ。高校生のころよくやった。




自分を彼女の中に、沈め込む。




耳の奥から自分がすいこまれるような感覚のあと、つづいて彼女の声がぼくの頭の中いっぱいにあふれていく。




< 270 / 286 >

この作品をシェア

pagetop