声恋 〜せいれん〜
「ひっさしぶり~、優一くん。元気~? って、こないだ話したばっかだよね。
あさってになったら会えるけど、どうしてもガマンできなくてメールしちゃいました!
なつかしいね~、おもいだすよね、高校のころ。
あのころ優一くんがだしてくれた課題を、こうして毎晩ふきこんでたよ。いっつも聞いてくれる人…優一くんを想像しながら、録音してた! ハズカシいけど…今だから言えるよ!
まずわたしが最初によろこばせようって思ってたのは優一くんで、キミが桜木陽菜の最初のお客さんであり、第一号のファンでした! いつもキミを想って、録音してたんだよ? え? そんなの知らないよって? そうだよね~。でもね、本当にほんとだよ…?
優一くんとあれをやってたとき、毎日がとても楽しかったです。夢があるってすばらしいね! それを見つけてくれたのは優一くんだし、こうして夢がかなったのも、ほんと優一くんのおかげです! ちゃんと感謝しておきますね、ありがとう!
…卒業式に別れてからずっとメールもしないままで、ごめんなさい。だって優一くんには千夏ちゃんがいるから…ってのはいいわけで、本当はちょっとこわかったんだ…優一くんがどう思ってるのか、わからなかったから…それにケンカしたみたいに別れちゃったし…なんか…優一くんの想いにこたえられない自分がいて、それがいやだった。優一くんと、彼氏彼女の関係じゃなくても、ずっと一緒にいられたらいいのにな…とも思った。
あれからいろいろあったし、優一くんとは離ればなれになっちゃったけど…でも…やっぱり、会いたい。優一くんに会いたい。会ってきちんと、お礼が言いたいの。声優になれたのも優一くんのおかげだから。
あ、それでね、優一くんに、どうしても聞かせたい詩があるの。なんていうか…わたしの伝えたかったこと…ううん、なんでもない。何をどう感じるかは、聞いてくれる人しだいだよね。声優は、心をこめて、ただ伝えるだけ。
わたしがどこまで成長したか、優一くんに聞いてもらいたいんだ。
きみに…きみに届くように、読むね。
伝わるといいけどな…わたしの、心」