声恋 〜せいれん〜




「話って…それだけ?」




気持ちが楽になったせいか、なんだか見たこともないやさしい顔してこちらをのぞいてくる優一くん。




こんな顔するんだ…優一くんも。




「あっ、う、うん、実はまだ、大切なお話と言うか、お願いというかが、ありまして…ま、すわってすわって」




今度は床にクッションを並べて、きちんと正座をする。なぜかおかしそうにしていた優一くんも、同じように向かいに座る。えっ…と、前髪前髪…と。




「で、なに? お願いって」




(すぅぅ、っはぁぁ)




ひとつ、深く、呼吸をした。




言うんだ、言うんだ、わたし。




優一くんも、勇気を出して言ってくれた。わたしだって、恥ずかしがっていられない。




「あのね、優一くん、わたし…




わたし、声優になりたいんです!」



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