声恋 〜せいれん〜
「ふぅん…最近なんだか様子がおかしいと思ってたら、こーんな小娘がうろついてたなんてね」
冷ややかな視線で相手の女を見る、イメージ。
「やだぁ、英二、こぉんな子供だましちゃかわいそうじゃない。どうするの? この子、勘違いしてるわよ。ふふっ、もう…悪い人」
「英二は将来を有望視されてるの。なんにもわかってないあなたみたいな子供に、彼を支えてあげることができるのかしら?」
「あなたは彼のお荷物なの。…ふふ、わからないの? そうね…子供にはわからないわよね。わたしは、彼の夢を叶えてあげられる…あなたは?」
怖い。
自分の吐く言葉に、自分で寒気がする。
この人の言葉は、冷たくて痛い…。
人の夢を奪うのは、誰にだってできないし、しちゃいけないんだから…。
「…彼は別に、あなたを好きだったわけじゃないわ。ちょうどいいところにあなたがいて、ちょっと遊んだだけ。ちょっと利用しただけ… 暇つぶしにね。それだけよ」
わたしは、絶対に他人の好きな人を奪うなんて、したくないし、できない。
そんな悲しくてつらいこと、できないよ…。
『たとえ見えなくたって…こころは、ちゃんとあります。わたしが英二さんを想ってるこころは…ここにちゃんとある』
『英二さんのこころだって…わたしに届いてるもん!!』
「あのー、桜木さん? ここなんだけど…なんで相手の子のセリフまでしゃべっちゃってんの…!」
あ…やっぱ怒られた…。