声恋 〜せいれん〜
今度はわたしが、優一君の家に招待されちゃった。
「明日両親いないから家に来ない?」って、気軽に言われちゃったんだけど…それって…。
「桜木さんいつもがんばっているから、たまには息ぬきしなよ。この間のお礼に家に招待するよ」
お礼…いやいやそんな…でも、それってまさか…。
う〜、もやもや。
「こっちだよ」
「あ?! え?! は、はいはい!」
あわてて優一くんの後を追う。
エレベーターをおりて、廊下を進む。
「わあっ、すっごーい!」
わたしたちの街が、一望できる風景。風が気持ちいい。こんなところに住んでるんだ…。
「ここだよ…さ、どうぞ」
「うん…ありがとっ」
招かれた玄関に、また驚く。
「うわーっ、すごいきれー! 超ひろいしーっ。 おおっ、こんなところに花瓶が埋め込まれてる! 枝がかっこいい! ジャパニーズ! ジャパニーズヨーロピアン! なにこの、フットライト? 丸くてかっわいぃ~♪」
「いいから入りなよ」
はしゃぐわたしに苦笑いって感じの優一くん。
ふふっ、はい、もうわかってます。これは“うれしい苦笑い”ですね。照れてますな、優一くん。ふふふーん♪ もっとツッこんじゃおーっと。
カチャン、と音を立ててドアがしまる。
わたしの家にきたときとは違う、淡くやわらかな、空気。
ふたりだけの、くすぐったい感覚。
気持ちよく、身体がまさぐられる感じ。