声恋 〜せいれん〜
「ビッグリビング!! ビッグテレビジョン!! すごいすごい! なんでも大きい!」
「…もうちょっと落ちついたら?」
「ビッグクッション!!…って、え?」
紅茶とケーキのお盆をさげて優一くんが立っていた。はわ~、豪華すぎて素敵すぎて、頭の中がホワホワしちゃうよ。
「あ、ゴメンなさい…声うるさすぎた? でもすごいねー、お父さんとお母さん、有名なデザイナーなんだってね。すごいなあ…本当にお金持ちなんだ~」
「まあ海外にいるからほとんど家にいないけどね」
「ふーん、さびしいね…」
って…え? …海外…じゃあ、あの毎日のお弁当は…?
「ゆうく~ん、お友達きたの~?」
なまめかしい大人の女性の声が、入り口の方からぬる〜りと聞こえてきた。