声恋 〜せいれん〜




「ビッグリビング!! ビッグテレビジョン!! すごいすごい! なんでも大きい!」




「…もうちょっと落ちついたら?」




「ビッグクッション!!…って、え?」




紅茶とケーキのお盆をさげて優一くんが立っていた。はわ~、豪華すぎて素敵すぎて、頭の中がホワホワしちゃうよ。




「あ、ゴメンなさい…声うるさすぎた? でもすごいねー、お父さんとお母さん、有名なデザイナーなんだってね。すごいなあ…本当にお金持ちなんだ~」




「まあ海外にいるからほとんど家にいないけどね」




「ふーん、さびしいね…」




って…え? …海外…じゃあ、あの毎日のお弁当は…?




「ゆうく~ん、お友達きたの~?」




なまめかしい大人の女性の声が、入り口の方からぬる〜りと聞こえてきた。



< 71 / 286 >

この作品をシェア

pagetop