凛と咲く、徒花 ━幕末奇譚━
頭を鈍器で殴られたような衝撃が駆け巡る。耳を疑った。
今、確かに〝殺す〟って。
「どういうことですかッ?!」
「おっとー朔ちゃんは行ったらあかんよ」
「やっ…!」
遠ざかってゆく平田の背に叫び、後を追おうすると、体を支えていた男に腕を強く引っ張られ、行動を制止されてしまう。
男たちは皆どこか物騒な笑みを浮かべている。それは不安と恐怖を煽るのには十分過ぎる材料で。私は胸騒ぎを覚え―――真実を理解した。
「騙した、の?」
震う、声。
「今更気付いたん?」
残酷にも、目の前の笑顔たちが歪む。一気に突き落とされる。
あんな話、信じなきゃよかった…。
そう思ったけれど、もう時既に遅し。
「おい、もっとしっかり押さえろ!」
「きゃ、やだっやめて!!」
――ドサッ
地面に押し倒され、両腕を顔の横に縫い付けられる。男にのしかかられているような状態で、身動きが取れない。
なんで、なんで……本当にどうして次から次へとこんな目にばかり?!
瞳にじわりと涙が浮かんだ。泣き声を漏らしそうになり、唇を強く噛み、耐える。
「おい、どうする?」
「せっかくの若い女なんやし、殺す前に犯しとくか?」
「って言うても男みたいな格好やけどなー」
ぎゃははは、と飛び交う下衆な笑い声。皮膚が粟立つ。
犯す?!そんなの冗談じゃないわ…!!