真実の奥に。
「よせよ。お前は何も悪くない。」

八木は両手を下ろし、真っ直ぐ私を見つめた。

だけど私はやっぱり罪悪感でいっぱいで、目を逸らしてしまった。

「ごめんなさい…」

「よせって。」


だって、だって、八木の猫が。八木は何も悪いことをしてないのに。

「それにしても…。誰なんだろうな、もう一人の奴って」

八木は喪心しきった顔で窓に目をやっていた。


「少しもボロが出ないってことは、相手は相当手強いな。」

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