真実の奥に。
高校生の教科書、資料集などの量と言ったら
そりゃもう多いもので。

いつだってあたしの引き出しはギュウギュウだった

でも周りは、授業ごとに鞄から取り出しているらしく
そんな面倒くさいことしたくないと思っていたあたしだったが、


今日の引き出しはいつになく窮屈で隙間なんてあったもんじゃない!!


だからあたしはいちいち取り出す流を今日から試行することにした


一度隙間なく入った教科書やらなんやらは、そうそう簡単に出てはもらえず

かなり悪戦苦闘していた



「心図?うわっ!なんだよその机」

ちょうど一番上の、英語のノートを3センチほど引っ張りだした時に、

後ろから声を掛けられた


「ちょっとね・・・はは・・・」
苦笑気味に返事をしながらあたしは英語のノートをまた3センチ程引っ張った

すると突然横から腕がスッと出てきて

「どいて」
八木は英語のノートの先っちょをつまみ、

「ちぎれたらごめんね」

と、冗談っぱく笑って、スイスイとノートを取り出した


「わあ・・・ありがとう」
ちぎれそうな様子は全く無く取り出されたノートを受け取りながら
あたしは感心していた


すると彼は「これ全部取り出していい?」
と、あたしの返事も聞かないまま、重なった本を机の上に置いてくれた



「ありが・・」
「あれ?」


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