真実の奥に。
「はぁ?」





―――返された言葉は、ばいばいではなかった


「潮那さん、はぁとは何でしょう?」
びっくりして脈拍数が2倍増えたあたしはそう聞いた


それにまた、口には出していないけれど彼女は”はぁ?”と言いたそうな顔をして、

「このまま帰るつもり?逃がさないわよ、とっとと行くわよ」

そう言って、あたしの右腕を取って、右でも左でもない、校門から真っ直ぐ延びる横断歩道を渡り始めた


逃げる?あたし、潮那から逃げた覚えありましぇん

これは本心だけど、そんなこと言ったら睨まれるのは優に予想できたので
もちろん止めておいた



無言であたしを引っ張る潮那


もしかしたら今日のあたしを変に思ったのかもしれないな・・・



いつもは意地悪で口が悪い潮那だけど、
あたしを心配してくれるなんて、こんな嬉しいことはないわ!


「それで、千枝の好きな人ってドイツよ」

潮那と槙とあたしの、お気に入りの喫茶店に着くと、
いきなり潮那はそんなことを聞いてきた


あたしは椅子から転げ落ちそうな気持ちになった


んーと、聞きたいことってそこっすか?

他になんか無いっすか?


だったら自分から相談しろよ ってもう1人の自分が呆れたように言うんだけど、
矛盾してるけど、あの手紙のことは言いたくない





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