【短】─サクラサク─
 チラリと意地悪そうな視線をよこすから、思わず目が泳いでしまったのが自分でも分かった。


 ついさっきあったばかりの虫モドキが、一体なにが分かるっていうんだ!


開き直りが通じてしまったのか、サクは不服そうに俺の前にひらひら飛んできた。



「お前は一人じゃないんだよ」


 じっと見つめるサクの言いたいことが分からない。

ただそのまなざしがあまりにも強くて、俺は言葉を失った。



 温かい風が吹き抜けて、花びらが円を描くように空に舞う。


「オレはいつだって一人だった……」

 ぽつりとこぼしたサク。

それがあまりにも哀しそうで、なんて声をかけていいかわからなかった。


「オレはこの桜の木とともにずっとここにいた。お前が生まれるずっと前から…」

 ……──え?

身なりはこんなに小さくて、あどけない少年の顔なのに。

「…だけど、それも終わりだ」

 サクの言葉に、俺ははっとした。


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