君に愛の唄を


「草場と何かあった?」



──ドキンッ…


嫌な胸の音が響いた。

鳴り出すと止まらない嫌な音。



「ちゃんと話したらわかってくれるって!」



ごめん。

聞きたくない。



「心菜と草場の友情ってそんなもんじゃないだろ?」


「……さい」



私を励ますつもりで蓮は言ってるんだろうけど。



「ん?」



今は蓮の優しい言葉が心を刺激して、傷にジンジン染み渡る。


……すごく痛い。



「うるさい!蓮に私と紗英の何がわかんの!?そんな簡単に言わないでよ!」



優しい言葉が、今は私をイライラさせる。


蓮は悪くない。

私がいけないんだ。



「ごめん…」



謝らないで。

そんな顔して欲しくないのに…


勝手に空回りばかりして、どんどん状況が悪化してきてる。


……バカみたい。
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