街で君の唄を聞いた
「へぇ、ヴィーノお菓子ってか、甘い物好きなんだ。へぇへぇ。意外だな」
ヴィーノさんよ。
あたしはラグアスにバレてはいけないと思って、その事は考えていなかったのだよ。
なのに台無しじゃないか!
くっ、あたしの苦労はどこに行ったんだ!水の泡と化してしまったのか!?
「ヴィーノってば、意外にお茶目だね」
う…うわあああああああ!!
ちょっ、ラグアスァァァア!!もうそれ以上口を開かないでぇぇぇぇぇえ!!
ヴィーノが怖い!オーラ!オーラがどす黒い!
「あ、別に誰にも言わない。だってそんな顔されたら、ふざけても言えないし。まぁそれに、一々言うような事でもないしな」
…へ?
マジすか?ラグアスさん。
おぉ!?これは心外だった!
まさか黙っていてくれるとは!
ラグアス万歳!
流石だよラグアスっち!
「じゃあ一緒に食おうではないか兄弟!」
「…いつ冷灯の兄弟になったの…。ま、少しだけいいよ。少しだけ。そこまで甘い物好きな訳じゃないしね」
「そなの?じゃあ無理して食わなくてもいいぞ?」
「だって食べないと困るんでしょ?だったら食べてあげる」
「神様仏様…!南無阿弥陀仏ー!」
「はいはいわかったわかった。食べるよ」
あ、南無阿弥陀仏は違うか。
しかもラグアスの受け流しスキルは高いな。
流しそうめんみたいにあっさり流したよ。
ちょっと痛かったかな!
「うはー…やっぱうまそー…」
「…そろそろ言葉遣い、女の話し方にしないのか?」
「無理だな。もう染み着いたし。それに今更“〜なのよね”とか言ってたら気味悪ぃだろ。自分で言ってて虫酸が走るぜ」
ははは、これが男の中で生きてきた女だ!
ても一人称ぐらいは“あたし”にしろとかマジな顔して、兄貴達、訴えてきたんだよなぁ。
仕様がないから一人称はずっと“あたし”って言ってきて、キレた時は“俺”になった。
見境無くなるしなぁ。
意識しなくなっちゃうし。
まぁいいじゃんか!
女が言葉遣い悪くたっていいじないか!
―――二人がコイツを嫁に貰う人は居るのだろうか…何て、知らなかった。
だって笑ってたし。