街で君の唄を聞いた
そういえば、兄貴達どうしてっかな。
小さい頃に、父さんが亡くなって、そのショックで母さんも逝っちゃうし…。
それで家事やら自分のことやら色々やり始めたをだっけ。
一番上の兄は元から結構できてたし、そこ一番羨ましかった。
その才能譲れよ、って最初は思った。
今となっては、どうでもいいけど。
……な…
…お……に…
…は?
あたし疲れてるおかしくなったか?
幻聴が…。
いや、気のせい。気のせいにしておこう。
…ろ…
……を……ませ…
ゾクッ
体の芯から冷たくなるような、寒い感覚。
それと同時に、この声の主が知りたくて仕様がない感覚。
誰かに似ている声のトーン。
暗い中で聞こえる声は、次第に溶け込むかのように消えていく。
助けを求めてるのか、
哀しいのか、
捜してるのか、
苦しいのか、
死にそうなのか。
そんな事は分かりはしないけど、いつかはこの声の主に逢う気がしてならない。
否、絶対に、逢う。