街で君の唄を聞いた
キュッ
ジャー…
シャワーから雨の様に、お湯が降ってくる。
温かい。
温かい、けど。
「………大浴場?」
何十人も入れますよと言わんばかりの広さにびっくりしてる。
しないはずがない。
…あの部屋の中に、どうやってこの大きさの風呂が入るんだよ!
まぁ、おいといて。
疲れてるんだし、ゆっくり入ろうか。
コツン…コツン…
「おぉ、やっと来てくださいましたか。お待ちしてましたぞ」
「失敬。急に仕事が立て込んだので…。しかし、アイツはまた遅刻かい?」
「その様ですな。もう遅刻するのは止めていただきたい…。夜にしか集まれないというのに…。全く、何をやっているのだか…」
「まぁまぁ。此処で愚痴られても何も変わりませんし、落ち着きましょう?」
「嗚呼、そうだ。そなたに渡すものがありまして」
「そうなのかい?どれ」
「“スイハ”の物です」
「何!?スイハはまだ生きているのかい!?」
「えぇ。どうやら今は神に保護されているそうで」
「これを彼女に知らせなくては…!!」
「彼女、とは一体誰のことでございますか?」
「異世界の子、レイヒさ」