街で君の唄を聞いた
不意を突かれたような感覚。
見透かすような感覚。
ニンマリ笑っている顔。
「…憎たらし」
「結構。因みにいうとそれほめ言葉」
「うざっ」
「それもほめ言葉」
「…」
「なぁんかなー。レイヒちゃん思い詰めた顔すんねん。別に俺はレイヒちゃんの兄貴やないし、親戚じゃない。というかこの世界の人やないけど、放っておけへん。だから聞いたんや」
そうだよ。
あたしはこの世界の人じゃない。
コルクの妹でもない。
赤の他人。
じゃあ、何でそこまでいって、聞こうとするのだろうか。
「話した方が楽になるっていうやーん」
「そしたらもうとっくの十にレイに言ってると思うけど?」
「でも言ってないやろ?」
「話すときがなかった」
「じゃ何でさっき話さなかったん?」
「食事に夢中だった」
「ホンマに?」
「…ホント」
「自信持って言えるんやな?」
そう、聞かれると、言えない。
確かに食事は美味しかった。
今まで食べたことなかった物だったし、豪華だったし、目がくらんだ。
けど。
「…馬鹿…」