花の魔女


ナーベルが階下に降りていくと、ラディアンはジェイクと話をしているところだった。

ラディアンは背中を向けていて、こちらの方を向いていたジェイクがナーベルに気づいた。


「おっ、ナーベルがやっと下りてきたぜ、ラディアン」


ラディアンも振り返ってナーベルをみた。

そんなに遅かったかしら、と不安になっていると、ラディアンが立ち上がった。


「じゃ、ちょっと森を散策してくるからジェイクは留守番してて」


そう言いながら壁に掛けてあったカゴを取りドアのほうへ向かうラディアンをジェイクはきょとんと目で追った。


「留守番って……ナーベルも行くのか」


ジェイクが不思議そうな顔をしてナーベルをみたので、ナーベルはこくりと頷いた。


「ほーお……」


ジェイクは大きく頷いてから、にっこり笑った。


「わかった、任せろ」


「お願いね」


にこやかに手を振って見送るジェイクを残し、二人は森の中に入っていった。


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