花の魔女
眠り続けるフィオーレに、ジェイクは毎日のように付き添っていた。
そして以前のようにナーベルの魔女修行にはラディアンが付き合うことになった。
しかし、ナーベルはフィオーレが倒れたショックで集中できず、いっこうに進まない。
見かねたラディアンが、ナーベルの両肩を掴んで家の方向にくるっと体を方向転換させた。
「え……?」
戸惑うナーベルに、ラディアンは優しく声をかけた。
「ナーベルが立ち直るまで、修行は中止しよう。寒くなってきたし、僕らの体にも悪いしね」
「ラディアン……」
眉を下げてラディアンを振り返るナーベルを、ラディアンは後ろからそっ抱き締めた。
「大丈夫。ジェイクとフィオーレが元気になれば、ナーベルは立派な魔女になれる」
ラディアンの囁きに、ナーベルはかすかな引っかかりを覚えたが、降ってきた優しい口づけに、それもどこかへ消えていってしまった。