花の魔女

「ナーベル」


はらはらとこぼれ落ちてくる涙を止めることができずにいると、ナイジェルが粉のついたままの指でナーベルの頬を流れる涙をそっと拭った。


「とうとう、この日が来たのね。……いなくなってしまったのでしょう?」


ナイジェルがそう言ったことに、ナーベルは驚いて目を見張った。


「どうして、知ってるの?」


ナーベルはまだ一度もラディアンがいなくなってしまったことは言わなかった。

フィオーレも話していないのだから、ナイジェルが知るはずはないのだ。


「アナベラさんが、教えてくださったのよ」


「え……?」


ナーベルが戸惑いながらアナベラの方を見ると、アナベラはナーベルと目があうと同時に微笑んだ。


「ええ、わたくしです。知っていましたの、こうなることを」


フィオーレがきゅっと眉を顰めた。


「どういうことなのでございますか?」


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