花の魔女
それでは、アナベラは最初からナーベルが魔女だと見抜いていたのだ。
それに自分のことをそんな風に思ってくれていたなんて。
「あ……、ごめん、なさい……」
ナーベルがしゅんとして謝ると、アナベラは慌てて手を振った。
「あなたを責めているわけじゃないのよ」
「でも……」
俯くナーベルにアナベラは歩み寄り、そっと肩に手を置いた。
優しく触れられて、ナーベルは顔をあげた。
目に映ったのは申し訳なさそうな表情を浮かべたアナベラだった。
「私たちがあなたたちを守りきれなかったの。二人が森に姿を消したのは好都合だと思ったわ。あのまま私たちのところにいてもいずれ権力にものを言わせてラディアンを出せと言ってきたはずだもの」
アナベラは眉を下げた。
アナベラも悩んだのだろう。
大切な息子のために守る方法を考え、シャミナードから遠ざけようとした。
自分がナーベルのことを認めていないと思わせて身を隠させることで、二重のバリアを張ろうとしたのだろう。