花の魔女
「姿を消してしまったのだから、私たちは知らないと言えるしね。だから森にいれば安心だと思っていたのだけれど、甘かったみたいだわ」
アナベラはナーベルの肩から手を離し、ナーベルの後ろにいたフィオーレに顔を向けた。
フィオーレは文句でも言われるのかと申し訳なさそうにアナベラを見ている。
そんなフィオーレの様子に、アナベラは違うのよ、と手を振った。
「あなたたちが対処できなくて不思議はないの。近頃のシャミナード家の魔力は危険なのよ。闇の精霊の魔力を手にしているみたい」
「闇の精霊!」
フィオーレが口元に手をやって叫んだ。
「外道ですわ!」
フィオーレの様子からして、闇の精霊というのは相当質の悪いものなのだろうとナーベルは悟った。
そんな精霊の下で魔力を使っているところに、ラディアンは連れて行かれただなんて……