花の魔女
もちろん、ラディアンをここから救いだすために。
そしてドニは、シャミナード一族のある秘密を知っていた。
前に侍女たちが話していたのをこっそり耳にしていたのだが、その噂話が役に立つ日がくるとは思わなかった。
ドニは書斎の奥まで進み、古ぼけた本を蝋燭で照らして一冊一冊、目で追っていった。
―――どこかにあるはずだ、あれに関する情報が載っている書物が――‥
そしてドニの目はある一冊の本のところで止まった。
ドニは心臓がドクンと一気に高鳴るのを感じ、鼓動が脳内に響き渡った。
震える手で本をゆっくりと、丁寧に抜き取り、代わりに持ってきた本を隙間に差し入れた。
そろりと本を支え、表紙を見つめた。
―――この本さえあれば、ラディアン様を救うことができるかもしれない……!
ドニは本をそっと自分の懐に注意深く隠し、入った形跡を残さないように気をつけながら急いで書斎を抜け出すと、何もなかったかのように厨房へラディアンの食事を受け取りに行った。