夏の幻
……………
「光、なんかいいことあった?」
いつの間にやら団扇を持って来るようになった敬太が、ニヤリと嫌な笑みを浮かべて聞いていた。
ギクッとするも、「別に」と平静を装う。
「嘘つくなよ~!何々、新たな恋の香り?」
ニタニタ笑いながら構ってくる敬太。
「ちげぇよ!」と言いつつも、顔が紅潮するのがわかる。
…確かにこれは『恋』だ。
俺はいつの間にか、ミーコに恋をしていた。
でも本当に『恋』と呼んでいいのかわからない。
…ミーコを好きになることが、どういうことになるのかわからなかった。
「最近講習が終わると飛んで帰るのはそういう理由かぁ」
一人納得した様に頷く敬太に「だから違うって」と言うが、本当は図星であることは否めない。
「なら!」
またあのニタァっとした笑みを浮かべて、俺にずいっと顔を寄せた。
「今日の放課後付き合えよ。」
「…無理」
「ほら!やっぱ彼女のとこ行くんだ」
「だから違うって!」
「じゃーいいじゃんっ」
…一歩も譲らない敬太。
何やら明日合コンがあるそうで、その服選びに付き合って欲しいと言うのだ。