夏の幻



…その顔は、ドキッとする程蒼白だった。

虚ろな視線を俺に向ける。

紫色の唇からは、微かに苦しそうな息が漏れていた。


「おい…どうしたんだよ」


俺は思わずミーコの顔を覗き込む。


「お前、めっちゃ顔色悪…」
「帰って」



ミーコは肩に乗せた俺の手を振り切り、再びうつ伏せた。


俺は一瞬、何を言われたかわからなかった。



「え…」
「帰って。もう来ないで」



…ミーコのこんな声を、俺は初めて聞いた。


微かに震える唇を動かす。



「今日遅れたこと怒ってんの?だったらごめん、今日は…」
「そんなんじゃない」



ミーコの声が上がった。

微かに肩が上下に動く。





「もう、会いたくなくなっただけ。シロにはもう、会いたくない」







…頭にガツンと衝撃を受けた。

そんな俺に追い討ちをかけるように、「帰って」と呟くミーコ。




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