夏の幻
「シロと話してると、楽しくて、幸せで…自分の体のことなんて、忘れられてた。でもあの日…シロが遅れて来た日…あたし、寂しくて…」
ミーコの瞳が歪んだ。
「待っちゃいけないって思うのに…あたしは死ぬ人間なんだからって思うのに…、シロが恋しくて…シロに…っ、会いたくて…」
ミーコがしゃくりあげる。
「だからもう…会っちゃダメだって、思った。これ以上シロを、縛り付けちゃダメだって…これ以上シロを…好きになっちゃ…ダメだ…って…っ」
…俺はミーコを抱き締めた。
折れてしまいそうな程細く小さいミーコ。
それでもやっぱり、暖かかった。
「…なっていいよ」
「え?」
「好きになっていいよ」
俺は泣きそうなのを堪えて呟いた。
「だって俺、ミーコのこと好きだから。好きな人には…好きになってもらいたいじゃん?」
ミーコの涙を肩に感じた。
「…これ以上ないってくらい、好きだからさ。ミーコも…それくらい、好きになってよ」