夏の幻
ミーコの涙は止まる術を知らなかった。
細い腕が俺の背中に回される。
「…ごめん…ごめんね、シロ」
ミーコの声は、痛いほど俺に深く届いた。
「…こんなに好きになって…ごめんね」
俺はもう一度ミーコを抱き締めた。
「…謝ることじゃねぇだろ」
かすれた声で呟く。
「…この洋館を出よう?夏の青空の下で会おう?秋には紅葉の上を歩いて、冬には雪だるま作ろう?…春を…一緒に、迎えようよ」
ミーコの腕に力が入るのがわかった。
薄暗い部屋じゃない。
もっと明るい場所に、ミーコを連れだしたかった。
それで、今以上の笑顔を見たかったんだ。
…そっと離れた俺たちは、お互いの唇を重ね合った。
初めてしたキスよりも長く、二人の唇は重なりあっていた。
少しでも長く、ミーコの温もりを感じていたかった。
……………