夏の幻
俺は一番疑問に思ってた事を口にした。
「そもそも、何でミーコはここにいたの?」
ミーコの笑い声が止まった。
しばらく考えた後、ミーコはゆっくりと口を開いた。
「…猫はね、自分の死期を悟るんだって。だからその時期が近付くと、死に場所を求めて家を出るの。家で飼ってたミーコも…そうやって、家を出ていった」
ミーコは微かに微笑んで言った。
「…誰にもわからない場所で、死のうと思って。」
…俺はミーコの唇に手を当てた。
そんな事、言ってほしくない。
ミーコの口から、『死』を聞きたくはなかった。
そんな俺の髪を、今度はミーコがそっと撫でる。
ミーコが飼っていた犬、シロに似ているふわふわの髪。
「…シロみたい」
優しい笑顔で、ミーコは言った。