夏の幻
「あの日…窓から顔を出したこと、ほんとは少し後悔してたの。出会わなければ…シロを苦しめることも、なかったから」
否定しようとした俺を遮り、「でもね」と続けるミーコ。
「今は後悔してないよ。…シロに出会えて、よかった」
…ミーコの笑顔は、俺の心に深く染み込んでいった。
消えないように、そっと抱き締める。
鈴の音が、ミーコの存在を示してくれていた。
「…ねぇシロ」
ふいにミーコが呟く。
「シロの本当の名前は何?」
ミーコの瞳を見つめて答える。
「光…星の光りとかの、『光』」
「ミーコは?」と聞くと、ミーコはいたずらっ子の様に笑って言った。
「ミーコはミーコ」
「教えろよ」とミーコをつつき、ミーコはきゃははっと笑う。
なんてことないじゃれあいが、すごく幸せなことに思えた。