軌跡
 睦也はエイトビートに身を揺らしながら、客席を左から順に眺めていった。そしていつもの場所で視線を留めた。スポットライトとは別の光に包まれた華やかさが、その一点には存在した。それが睦也の恋人であるという贔屓の目からではなく、きっと誰もがそう思う程の華やかさが。
熱い視線を送る優の瞳には、羨望にも似た輝きが含まれていた。その存在を確認した睦也は、脳内から大量に分泌されるアドレナリンに身を委ねていった。
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