軌跡
睦也起きて、誰かが呼んでいる。睦也起きて、しつこい奴だな。
「睦也、起きてよ。次で降りるよ」
「ここ、どこ? ……電車か」
「覚えてないか。どこまで覚えてるの?」
小さく溜息を吐いた優。
「ウィスキーを三杯くらい飲んだとこまでは……」
「あんなにガブガブ飲むからよ。着いたよ。歩ける?」
「楽勝」
強気な態度をとったが、体は嘘をつけない。目の前が右に左に揺れ、焦点が定まらない。そして視界の端がやたらとチカチカする。一歩足を踏み出すごとに、無重力のように体が宙を舞う。今なら、ムーンウオークが出来るかもしれない。
「もう、しっかり掴まって」
わりい、そう言って肩を借り、歩き出した。
「睦也、起きてよ。次で降りるよ」
「ここ、どこ? ……電車か」
「覚えてないか。どこまで覚えてるの?」
小さく溜息を吐いた優。
「ウィスキーを三杯くらい飲んだとこまでは……」
「あんなにガブガブ飲むからよ。着いたよ。歩ける?」
「楽勝」
強気な態度をとったが、体は嘘をつけない。目の前が右に左に揺れ、焦点が定まらない。そして視界の端がやたらとチカチカする。一歩足を踏み出すごとに、無重力のように体が宙を舞う。今なら、ムーンウオークが出来るかもしれない。
「もう、しっかり掴まって」
わりい、そう言って肩を借り、歩き出した。