軌跡
「明日から、また練習を再開するよ」
「うん。でも明日は二日酔いで動けないんじゃない?」
「休みだし、ゆっくり寝れば大丈夫。それに、あいつらにギャフンと言わせないと」
 優は小さな笑みで答えた。
「そういえば、お前も明日休みだろ? 久々に少し出かけるか」
 でも……、何かを言いかけたのを遮り、続けた。
「大丈夫、早めに帰ってきて練習するから。ひさしく、日曜に出掛けたことなんてなかっただろ」
隣で小さく頷いた優の肩をそっと引き寄せた。いつの間にか、夜風は秋のそれへと変わっていたのだ。
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