軌跡
デザートの皿も下げられ、邪魔なウエイターがいなくなったことを確かめると、睦也はコートから小さな小包を取り出し、それを優の前に差し出した。
「優、二十歳の誕生日、おめでとう」
ほのかに頬を紅潮させた優は、その場で凍りついてしまったかのように、身動き一つとらなかった。睦也が早く受け取るように急かすと、やっと腕を伸ばし、その箱を受け取った。
「開けて、いい?」
小さく頷いて返すと、丁寧に包装紙を剥がしだした。その几帳面な動きに、睦也は内心苛々したが、ジッと堪えた。
「……可愛い。ありがとう、睦也」
ブルーライトの淡い光に輝く、その瞳から零れ落ちそうな滴を見ると、睦也は急に照れ臭くなり、残りのワインを一息で飲み干した。懐が寂しくなった分、いやそれ以上に、睦也の心は温かい何かに満たされていった。
「優、二十歳の誕生日、おめでとう」
ほのかに頬を紅潮させた優は、その場で凍りついてしまったかのように、身動き一つとらなかった。睦也が早く受け取るように急かすと、やっと腕を伸ばし、その箱を受け取った。
「開けて、いい?」
小さく頷いて返すと、丁寧に包装紙を剥がしだした。その几帳面な動きに、睦也は内心苛々したが、ジッと堪えた。
「……可愛い。ありがとう、睦也」
ブルーライトの淡い光に輝く、その瞳から零れ落ちそうな滴を見ると、睦也は急に照れ臭くなり、残りのワインを一息で飲み干した。懐が寂しくなった分、いやそれ以上に、睦也の心は温かい何かに満たされていった。