サクラノコエ
音楽が止まり、しんと静まりかえる空間の中で、俺は恐る恐る目を上げる。

ぼんやりと暗闇に浮かび上がる一人分の理紗の足元。

他の理紗は消えたのか?

恐怖と不安で怯える俺の頭上から

「悠人くん。大丈夫」

と、いつもの理紗の声が聞こえる。

俺はホッとして顔を上げた。

俺を見下ろす理紗は、かわいらしい笑顔を浮かべ、優しく俺に手を差し伸べる。

「ありがと」

俺は手を伸ばし、理紗の手をつかんで立ち上がろうとした。

ところが、理紗は俺の手を反対につかみ取ると、もの凄い力で握ってきた。まるで、握りつぶそうとするぐらいの勢いで。
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